どんな言葉で、何を語りかけるのか

先日からスタートした「ろっぺん書房のニュースレター」。思っていたより反響が多くてびっくりしてます。いや、びっくりするような送り方をしたのは私の方なんですが、思い立ったが吉日というヒトなんで、どうもすみません。感想の一部を紹介させていただきますね。

・カフェや、夜、枕を並べて聞いてる人生の話みたいで長い文章が苦手な私でも大丈夫でした
・とても楽しくメルマガを読ませていただきました。
今回だけでなく、いつでも!ですが・私は長文大歓迎です∩^ω^∩
・デザインも文章もとても素敵です
・いきなりのアニメーションで度肝を抜かれました
・内容はブレないTOMOKOさんらしくて良かったです
・めちゃくちゃ良い感じですね。読みごたえがありました。
・感動☆静かなのにパワフル!
・これからも新しい記事を読むのがとても楽しみです

などなど、感想をお寄せいただいたみなさまも、静かに様子を見てくださってるみなさまも(笑)ありがとうございます。

ところで冒頭の「枕を並べて聞く」という感想なんですが、私はホンモノの枕の上に頭を乗せるとすぐに眠ってしまう”のび太仕様”なので、残念ながら枕の上で誰かと語り合うことはできません。でも、メルマガでならちょっぴりできるかもしれないという発見をしました(笑)。

私があまりに瞬殺で寝るので、5歳児の娘が絵本の読み聞かせをパパに頼むようになったくらいです。ちなみに3年経った今はというと、爆睡する母の横で、お目目ぱっちりでパパの帰りを待ち、旦那さんの”帰りますLINE”にすかさず「電話していい?」と返信してます。彼女かよ!!はい。とってもしあわせな旦那さんですね(笑)

ちなみにこの感想を寄せてくださった方は、この方です。ご本人はデザイナーをされていて、旦那さんはカメラマンですって。そんな格好良すぎる夫婦って本当にいるのですね。

わが家とは違うのぉ・・・
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あなたはアーティスト型?それともマーケター型?

さて、メルマガのプラットフォームを変えてみて、一番驚いているのは私かもしれません。というのも、生まれてくる言葉も文章も変わることに、すぐに気づいたからです。これってなかなかに「重大な発見」だと思いませんか。たとえみなさんの提供するサービスが同じであっても、どんな言葉で、何を伝えるかが変わってくるのだとしたら、当然リアクションをしてくださる人、今後、関わりあう人が変わる可能性も大ってことです。

そう考えると、「メルマガ」というメディアひとつとっても、適当に選ぶのはちょっと乱暴すぎるのでは?って改めて思いました。感受性が豊かだったり、繊細な人、いわゆる王道のハウツーにハマれない人を、私は「アーティスト型」って呼びたいのですが、そういう人ほど丁寧に選んだ方がいいかもしれない。つまり、書けなかったのは100%アナタのせいじゃなくて、30%くらいは環境のせいだったかもしれない(笑)。

まぁ、こういう話をすると、しのごの言ってないで書け!って人が絶対にいるかもしれません。でも、そういう人は「マーケター型」なんじゃないでしょうか。このタイプは目標=売上のためなら、多少無茶してでも動けたりするし、ひょっとしたらあなたとは違う、別の銀河系の住人かもしれない。でも、アーティスト型のあなたは、ゴリゴリ書くだけでは、心が泣いちゃうこともあるでしょう。

もうちょっと宇宙視点で見ると、お互い目指している世界も、投げかけたい言葉もちょっと違うのには理由があって、その異なる視点と感性を活かし合えたら、地球はもうちょっと素敵な惑星になるかもしれないってことなんですが、そんな素敵な世界を実現するのには、もう少し時間がかかるのか、はたまた地球が滅亡するのが先か(笑)、どっちだと思いますか?

心のアーティストを育てるために必要なコト

ある日、娘が学校から帰ってきて、悔しくて泣いていました。運動会のキャラクターコンテストにエントリーしたんだけど、投票してくれる子が三人しかいなかったと。いいと思う絵にシールを貼って投票するという方法で、途中経過が本人も友達からも丸見えという、なかなかのシステム(笑) 

圧倒的に上手だった6年生はさておき、同じ学年の子たちにも負けて悔しい「もう絵なんて描かない!」なんて泣いた数時間後にiPadでごそごそ何かを描いてて「うまくいった」と、ほくそ笑んでいましたから、まぁ大丈夫でしょう(笑)。何人たりとも、あなたから表現することを奪うことはできません。ありがたいことに、翌日にはもう数人、支持者が増えていたらしいです。たとえ少数派でも、素敵だね、好きだよって言ってくれる人を大事にしてほしいなぁって思います。

実は、娘のこの一件で、似たようなこと私も小学生の頃に経験していたのを思い出しました。それこそ3年生か、4年生だったかと。娘と同じく、生徒と先生の投票で金・銀・銅が決まるというシステム。「花」がテーマだったんで、植物好きな私はまあまあ気合いを入れて描いた自信作だったのですが、銀賞に終わりました。

金賞の子の絵は、確かに上手かった。上手いけど、何も感じられないのにな〜、みんなはこういうのが好きなのか〜。なんてことを生意気にも思考し、自分を納得させようとしましたが(笑)、所詮は小学生の思考力と分析力。結果だけはハッキリ伝えられるけど、なぜそうなったのか、どうしたらもっと良くなっただろうか、ってことまで丁寧に伝えたり一緒に考えてくれる人がいるわけではなかったですから、心の整理はつかず、モヤモヤしてましたね。 

小学生の段階で、結果だけを突きつけられるのって、まあまあ残酷じゃね?って私は思うのですが、学校は40年近く経っても、ほとんど何も変わっていないなって思います。あまりに変わっていなさすぎて、化石かよ!と愕然とすることもしょっちゅうある。もちろん、選ばれることで自信をつけていく子もいるし、娘のように何くそ!って自分で再起を図れる子もいるけれど、娘からは1枚もシールが貼られていない子もいると聞いています。その子の表現力がいつ花開くかなんて、わかりません。それなのに、たった一度のコンテストで、おまけに公平なのかどうなのかもよくわからないシステムで(笑)摘まれる芽がないことを願わずにはいられません。 

自分の絵が思っていたほどには支持されなかった、ということに対して、私も娘と同じように、悔しさや悲しみを感じていたわけですが、そんな私の絵と、金賞の子の絵を見比べながら、隣のクラスの担任の先生が「私はこっちが好きだけどな」って私の絵を好きと言ってくれたんですよね。ただそれだけのことだったのですが、私はものすごく救われる気持ちになりました。あぁ、単純王でよかった(笑)。

ひょっとしたら、そう遠くない場所に私がいるのを見て、あえて聞こえるようにそう言ってくれたのかもしれませんが、たった一人でも、はっきりと「私はあなたの絵が好き」そう言ってくれる人がいた、その言葉の温もりは、忘れられないものです。 

その後私は絵画とかデザインとかそういうビジュアルやアートの世界に進んだわけではありませんが、かつてそういう「言葉に救われた」という原体験が、今の自分のお仕事や、生きる上での価値観の一部にとりこまれているのだと思います。

出来事や事件は、やがて誰の記憶からも薄れていきます。先のエピソードも娘の一件があるまで忘却の彼方にありましたが、自分の価値観や思想、哲学という「土壌」に取り込まれたものは、その土壌でやがて育つものに十分すぎるほどの栄養を与えつづけてくれるのです。

あなたにしか紡げない言葉を大切に紡ぐ

今、私が書いているこの文章も、単語レベルでは、誰でもつかえる共通言語です。私しか使えない、なんてことはありませんよね。そんな「誰でも使える言葉」をどう使うのかに、あなたという「人」が映り込んでいます。おそらくみなさんが思うよりも、私はずっと時間をかけて、何度も読み返し、推敲を重ねて今日の私が一番届けたい話を届けています。それは「言葉は力を持っている」と信じていて、その力をぞんざいに扱いたくないからです。 

アーティスト型さんの中には、パッと思いついたこと、ひらめいたことを、もっと簡単に手っ取り早く解き放てたらいいのに。そう思う人もいるかもしれません。もちろん気持ちよく解き放てる環境を整え、ある程度自分のスタイルを確立し、スキルを向上していけば、不可能ではないと思います。即興(impromptu)という表現世界もありますしね。ですが、「即興」は土台があっての即興であって、そうでないものは即席(インスタント)です。こんな表現をすると、クオリティを追求しているインスタント業界から叱責されそうですが(笑)、何をいいたいのかの「違い」はわかっていただけますよね?

 アーティスト型の人にとっての仕事と言葉は「作品」のようなものです。どんなにたくさんの素材をもっていても、世に届けたいと思えるものに昇華していくには時間がかかることもあり、それこそ時短や効率化とは真逆の世界です。時間を味方につけるのは、口で言うほど簡単なことではありません。目にみえる手応えや結果が得られないという孤独や不安に耐えられず、目先の成果にばかり飛びついていたら、大切なものを「育てる時間」を失ってしまうかもしれません。

非効率な時間と向き合ってでも、逃げずになお自分の仕事と言葉を育てていった人の言葉には、しなやかな強さと意志、スピリット、魂が宿ります。読む人の心だけでなく、魂からつき動かすのは、そういう言葉なのです。

 もし、みなさんが教わっているのが、マーケター型の師匠だったら「今やれ、すぐやれ、さっさとやれ」って言い続けるかもしれません。ですが、サクサク書いた言葉じゃ魂が宿らない。そういう言葉を片っ端から放出しまくって「コレ、なんの意味があるの?」と立ち止まってしまうのが、アーティスト型さんではないでしょうか。もちろん、ライティングに関しては、書かずに上達する魔法なんてありません。ある程度、量と質は比例する側面も確かにあります。でもそれは、質を無視してとにかく大量に積み上げればうまくいくという話ではないのです。 

自分にとってマイナスなもの、納得のいかないものをどれだけ積み上げても、マイナスの未来しか紡ぎ出せない。これは、マーケター型だろうがアーティスト型だろうが同じです。もちろん、毎回完璧である必要はないし、すべての読み手にとって完璧な文章なんてあり得ません。それでも、今書いた文章がプラスかマイナスかは、あなたなら、自分の心で感じ取れるはずです。どんなに小さくても、自分の心に照らしてプラスだと思える言葉や文章、ひいては仕事を積み上げなければ、あなたが望むご縁や未来を引き寄せることはできないのです。

仕事とことばの土壌を育むものたちを見つめて

そうはいっても、少しでも早く結果(売上)がほしいと思うアーティスト型さんの気持ちもわかりますから、どうしたらいいのかのヒントも届けたいと思います。 

まず、みなさんの言葉や、ビジネスを育ててくれる「土壌」って、どこにあるでしょうか。その土は、いつから育てていると思いますか。私がクライアントさんと接していて、もったいないな〜と思うのは、一番ふかふかになっている土があるのに、それを全く生かしていないときです。

もちろん、何かしら記憶に残る「転機」があって今の仕事に至った、ということは理解できるし、二度と見たくもない、嗅ぎたくもない土もあるでしょう(笑)。そういう土から、余計な成分を取り除いて、良質な発酵をさせるには、時間がかかることもあります。とはいえ、最近どっかから仕入れたばかりのピカピカの新しい土から、仕事をつくっていくのがいかに大変かは、みなさんご存知の通りです。 

以前、自然栽培をしている農家さんから聞いたのですが、その畑でかつて使われていた農薬とか肥料とか余計なものを畑から抜いて、本来の土の力を取り戻すだけで3年かかったそうです。つまり、最初の3年間は、土づくりしかしておらず、この間、収益につながる作物はひとつも育てられなかったそうです。この間、その方は別の仕事で生計を立てていたのだとか。

この話って私たちの仕事にも通じていると思いませんか。私も今、振り返って思うんですけど、まったくの未経験から、私がお客様の代わりに文章を執筆する「代筆」のような仕事を、受注から納品まで、自分ひとりで引き受けられるようになるまでには、やっぱり3年くらいはかかったと思います。では、その間どうしていたのかというと、最初の頃は、会社員を続けていましたし、ライティングに関しても「代筆」以外のサービスで、収益を上げていました。それから「代筆」のような仕事は、そう何件も同時に受けられるものではありません。ですから、複数のサービスを組み合わせて収益を成り立たせているのは今も同じです。

あなたの言葉や仕事に人と同じにならない色や風味を醸してくれるのは

私たちのお仕事も自然界の原則と一緒で、自分の育てた土壌に種を蒔くことの繰り返しです。なんでもかんでも、タネをばら撒けば育つというものではありません。蒔く時期をほんの少し誤るだけで、全く芽が出ないこともあります。1年のうちになんども収穫できる小松菜やハーブのような種もあれば、桃栗三年、柿八年のように、時間がかかるものもあります。桃、栗、柿は実りを迎えるまでに、時間がかかりますが、ちゃんと手入れをして育てていけば、毎年果実を実らせることができて、収量も増やすことができて、鳥や動物たちと分かち合うこともできます。永く事業を育てていくためには、短期で育つものと、長期で育つもの、長い目でバランスよく育てることも大切です。

今の仕事をはじめてからまだ間もないんです、まだ下積みが必要なんです、という方は、その表層の土だけを掬い取るのではなく、あなたの人生を、あなたがあなたである理由を静かに支え続けてくれているものたちに、もっと目を向けてみしょう。それらは土の中でうごめく微生物たちやら、みみずやらのようなものです(笑)彼らは文句ひとついわず、せっせと自分の仕事に没頭していますが、あなたの言葉や仕事に、他の人と決して同じにならない、色や風味、匂いを醸し出してくれています。彼らは土から取り出されて、日光に当たることなど望んでいないでしょう。それでもあなたが、彼らの恵みに感謝して、その土で作物を育てていくことについては、夢中になって手助けしてくれるはずです。

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書いた人

ろっぺん書房
自分メディアプロデューサー

社員にも、世の中の誰かにもやさしく、着実に成長しつづけたい経営者のための自分メディアプロデュース。発信のコアと、自分らしい発信スタイルを発掘し、新規事業のスタートやリスタートを応援します。

小学生の娘と、スナップエンドウを愛する豆柴と一緒に神奈川県の某所で暮らしてます。

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