とある経営者さんの自分メディア、電子書籍が完成目前まで来ました(ひょっとするとお正月に読めるかも?!)。
デザイナーさんの表紙案、帯のメッセージを書いてくれる方も決まり、上がってくるデザインや言葉も、それぞれの個性全開(笑)。このやりとりも見ていてとっても楽しい。
電子書籍は半年〜1年くらい、じっくり時間をかけて作成するもの・・・と思いけや、今回は、お話が出てからおよそ2ヶ月でほぼ形に。私も当初、ここまで早く仕上げるとは想定していませんでしたが、伝えたいことが明確な経営者さんなら、3ヶ月くらいで形にすることも不可能ではないのですね。
お手伝いした電子書籍は、王道のマーケティングや集客に疲れている人に、思わぬ「解決の視点」をもたらしてくれる素敵な内容です。思い当たるフシのある方は、楽しみにしていてくださいね!
というわけで、そんな電子書籍のサポートを通じて、あらためて感じたことをお伝えします。
「発信」とはすなわち「呼吸」である
生きるのに欠かせない「呼吸」。そして経営者にとって欠かせないものになりつつある「発信」には共通点がたくさんあります。
息をすることを「呼吸(こきゅう)」と言いますけど、「吸呼(きゅうこ)」とは言いません。「阿吽(阿呍)の呼吸」という言葉も吐きだすのが先!と教えてくれています。
「阿(あ)」は吐く息のことであり、梵語の第一字母の音訳であり、日本の五十音の初めの音でもあり、他のことばに冠する文字でもある。
「吽(うん)」は吸う息のことであり、収音の声でありいっさいの収まる字であり、五十音の最後の音でもある。すなわち「阿」で始まるのが息をすることの常態であろう。
『原初生命体としての人間』野口三千三著
息のあう人や、あなたの言葉に本気の人と出会うには、まずあなた自身が、息を吐き切ること!が大切なのです。
ハッハッハッハと浅い呼吸ばかり繰りかえしていたら誰でも苦しくなってしまいます。一方、「深呼吸」という言葉があるように、しっかりと吐き切る、息を出し切ると、こんどは新鮮な空気がすーっと自然に入ってくる。身も心もすがすがしく整ってきます。
しっかり吐き切るから緩み、整い、新しいものが入ってくる!のです。
日常生活の中でも、武道・スポーツ・芸能の中でも気をつけて検討してみれば、誰にでも息を吐くことがどのような意味をもつかはだいたいの検討がつくことであろう。
『原初生命体としての人間』野口三千三著
『文章はもう読まれない。これからは動画や音声の時代だ』――そんな声を耳にすることも増えました。
でも、私はそうは思いません。これらのメディアも元を辿れば文章(テキスト)ですし、本屋がなくならず、書籍というメディアが消えないのは、人の心に静かに、そして深く染み込むのが、やはり言葉や文章だからでしょう。
断片の情報で「知った気になる人」より、あなたの言葉に「本気の人」と出会いたい。
そう思うのなら、私はまっさきに電子書籍のような「質量のあるメディア」で、自分の伝えたいことをしっかり出し切ることをお勧めしています。
「深い呼吸」で生み出されたメディアで親和する人となら、やがて「阿吽の呼吸」で、世の中に何かを仕掛けていくことも可能になるかもしれません。
むしろ、今ほどあなたという人間の「生きた言葉」が信頼される時代はないかもしれません。ChatGPTを叩けば、正しそうな情報はいくらでも吐き出してくれます。でも、そこに生身の人間の、リアルな体験はありません。
どれだけ膨大に情報を手にすることができても、こころの拠りどころにはなっていない。そういう時代を私たちは生きているからです。
SNSって本当に「軽い」メディアですか?
経営者の中には、忙しい合間をぬってSNS発信をしている方もおられると思います。もちろん呼吸するようにサクサク発信できる方、楽しんでいる方、数秒でコメントのレスができる方もいらっしゃいます。
でも、なんだか苦しいし、しんどい・・・やっぱりSNSは好きになれない!そんな本音を抱えている方もいらっしゃるのでは。
SNSは一見「軽い」メディアに見えます。でも、即時性、拡散性、開示性が高いという特性は、発信者に「浅い呼吸」を強要する側面を持っていますから、人によっては苦しくなってきたり重くのしかかってくることもあります。私はSNSというメディアは、決して「身軽なメディア」とはいえないと思うのです。
さらに、自分の発した言葉がしっかりと受け取り手に伝わるかどうかは自分でコントロールすることができません。自分のアカウントをフォローしてくれていても、表示されるかどうかは、アルゴリズムの手のひらの上です。
本業のさらなる発展を視野に入れて発信をはじめたのに、そこに神経やリソースを奪われてしまう。こんなことで・・・と自分を責めたくなるかもしれませんが、ささやかなノイズ、ささくれほど取り除くのは難しいもの。こと経営者に関しては集中すべきは「本業」であって、発信ではないはずです。
そういえば先日、mixi2が登場しました。早速アカウントをつくった方もおられるかもしれません。でも2023年にはThreads、2021年にはClubhouseが登場し、これからも新しいプラットフォームはどんどん登場し続けるでしょう。
変化が早い時代だからこそ、目先の流行りに翻弄され、消費されるコンテンツではなく、あなたと読み手との間で「長く生き続けるメディア」を持つことに、あなたの大切な時間と心を配ってもいいのではないかと思うのです。
“拠りどころ”があれば自由になれる
極端に聞こえるかもしれませんが、私は「経営者のSNS発信は最後でいい」と思っています。
その代わりに、自分にとっても、社内の誰かにとっても、そして受け取り手の誰かにとっても「拠りどころとなるメディア」を持っていて欲しい。電子書籍でもブログでも、「原典」となる媒体が1つあれば、SNS記事の投稿は外注したり、そこから先はインハウス、内製で社内広報に任せることも自在になります。
でも、逆はどうでしょうか。SNS投稿を積み上げて電子書籍をつくる、これは不可能ではありませんが、かなり難しいでしょう。あらかじめ設計図(コンテンツマップ)をしっかり用意すれば、できないこともないですが、SNSのメディア特性を考えると、あらかじめ用意したコンテンツマップどおりにSNS投稿できるかどうかはかなり微妙なところです。
SNSは投稿の反応を見ながら投稿内容をチューニングするのが常です。もちろんこの特性は、ユーザーや市場の動向を即座に見るのに便利ですが、反応があった投稿があったとして、それがすなわち自分たちに期待されているかどうかは、また別の話です。ユーザーはそこまで深く考えて反応していないかもしれない、ということも忘れてはなりません。
変化が速く、AIによってどんな情報が表示されるか、嗜好性すらも誘導されている。そんな現代社会だからこそ、あなたの「核(コア)」となるメッセージは、静かな場所で、別の形で取り置くことが、未来のために不可欠になってくるはずです。
自分で or 社内(インハウス)で魅力的なメディアを内製できますか?
よし、わかった!じゃあ、自分でつくろう、社内の誰かに任せよう。そう思われる方が多いかもしれません。ですが、経営トップの話を、社員の誰かが忖度なしに魅力的なコンテンツにまとめあげるのは、非常に難しいことです。
経営者がどんなに「うちは風通しのよいフラットな(企業)人間だから」と思っていても、そこまで「近い」と感じている社員は、実のところそう多くありません。残念ながら、それが真実であり、現実です(だから経営者は孤独だとも言われるのですが…)。
経営者のあなたと、メディアづくりを担当する社員との間に少しでも「忖度」が生まれてしまうと、読む人の関心を誘う、面白くて魅力的なメディアに仕立てることが、とたんに難しくなります。
もちろん、内情を知っているから書けること、つくれるコンテンツもあります。でも、同時に書きづらいこともたくさん出てくるはずです。でも、本当はそういう「書きづらい何か」こそ、世間が(実は社員も!)知りたい魅力的なコンテンツになる可能性を秘めているのです。
でも、社内の人間が、そこに何度も突っ込んでいくというのは、相当にストレスがかかります。忖度する方がラクなのです。
「この言葉は一体、誰を笑顔にしているのか…。」
かつて経営陣の社内外発信を担当していたとき『今、あなたから聞きたいのは、その言葉ではないのでは…』そう思いながらも、それを進言するのは難しく、理解していただくのも容易ではない。そんな場面に、私は何度も直面してきました。
もちろん、私の力不足もあったと思います。でも、経営トップがどんな言葉で、何を伝えるか。その影響力は、会社の規模によらず、社内外問わずとてつもなく大きいことを忘れないでほしいのです。
もし、かつての私が抱いていたような葛藤を乗り越え、正直に、今のあなたが伝えるべきメッセージはこれです!そう勇気を出して伝え、あなたの心を動かしてくれる人がいたら、本当に大切にしてほしいと思います。
今、自分は何を伝えるべきなのか。
あなたから聞きたい言葉、その根幹となるメッセージをご自身で、あるいは社内で引き出し、メディアとして整えることに課題を感じておられていましたら、ろっぺん書房の「自分メディアプロデュース」という選択肢をいれていただけたら幸いです。
話すだけで、あなたの言葉を読みたくなるメディアに
自分メディアプロデュースでは、経営者が苦手な発信やメディアづくりの悩みを手放し、あなたも、あなたの言葉を受け取る人も笑顔になれる、そんな「拠りどころ」となるメディアづくりのお手伝いをしております。
あなたはリラックスしてお話しするだけで大丈夫。
受け取り手の目線で、読み手の心に響くことばに整えるのは、私たちの仕事。
そんな「自分メディアプロデュース」に、興味を持たれた方がおられましたら、下記のページからお問い合わせください(ご相談は無料です)。